富士スピードウェイでエンジンブローしてしまったのを機に、タスカンSやサガリスと同じ4リッター仕様に変更しました。3.6と4リッターではボアは変わりませんがストロークが異なるので、クランクシャフトとコンロッドは4リッター用に交換になります。コンロッドが突き出てブロックが逝ってしまっている状態からの修復には都合が良いのです。
コンロッドメタルは焼き付き寸前で、コンロッドボルトが折れていなくてもメタルが焼き付いた可能性がありました。買う前にオイルポンプが壊れていて油圧がかからなかったという状態だったので、そのとき既にダメージが発生していた可能性もあります。
オイル消費も結構多かったので、走行中に油量が低下して高Gで油圧が低下してしまったこともありました。今回はストレートの加速中にこれまで見たことのない油圧低下の警告表示「Warning! Oil Pressure 0 psi.」がメーターの液晶ディスプレイに出たのですが、時既に遅しで、次の1コーナー立ち上がりでエンジンから異音が発生しました。
変更パーツ
- ピストン×6
- コンロッド×6
- クランクシャフト
- ECU ROM(4L用)
- シリンダーブロック
- カムシャフト
大物は上に挙げたもので、そのほかバルブガイドシールやガスケット、オイルシール類といった小物が色々と必要です。クランクシャフトはものすごくごつい代物ですが、お値段もかなりのものです。ピストン、コンロッドもそれぞれ6つ必要なので、まとまると相当な額になります。コンロッドボルトも折れにくいものに換えてもらってあります。
そのほか、シリコン製の冷却ホースに変更したり、後期用のクラッチレリーズシリンダに交換したりと同時に強化できる部分を変更しています。
チューン内容
- ヘッドポート研磨
- 燃焼室容積合わせ
- コンロッド重量合わせ
- ピストン重量合わせ
- クランクシャフトバランス
- フライホイールバランス
- クラッチカバーバランス
- フロントフライホイールバランス
- シリンダーホーニング
- ヘッド冷却対策
- カムシャフト表面処理
- ロッカーアーム表面処理
ヘッド冷却対策は、ヘッドの後ろの方に冷却水が回りにくいという弱点を解消するために、ヘッド後方に冷却水取り出し口をつけて流路を確保するものです。
完成したエンジン
エンジンの加工、組み付けはレーシングエンジンの取り扱いに慣れている専門業者さんにて行っていただいています。現時点で国内最高レベルのSpeed Sixエンジンではないかと思われます。
エキマニは排気干渉を防ぐために、前3気筒と後ろ3気筒で独立した2系統となっています。写真に写っていない触媒以降も完全に独立していて、車両後部に2本突き出ているカーボンのマフラーは伊達ではありません。
[2009.5.1]
エンジン慣らし
オーナーズマニュアルによると、TVR Speed Sixエンジンの馴らしは3200kmかけて行います。最初の1600kmまではエンジンが暖まるまで2500rpmを超えないようにします(これは1600km以降も守った方が良さそうです)。私は水温65度までは2500rpmを超えないようにしています。
最初の400kmの間は、エンジンが暖まっていても3500rpm以上回さないようにし、スロットルを全開にしてはなりません。また、480kmまでは一定のエンジン回転数で走行することを避けます。
400km~3200kmの間は徐々にアクセル開度とエンジンの回転数を増やしていきます。最初の1440kmまでは低いギアでの全開加速をしてはいけません。
最初の1600kmは10W-30のエンジンオイルを使い、1600km~9600kmの間は15W-40、それ以上は0W-40を使います。Mobilのオイルが推奨されています。
[2009.9.20]
最新のTuscan 2用のオーナーズマニュアルによると、以下のようになっています。
- 0-400kmの間は、エンジンが暖まっていても、最高回転数は3500rpmを超えないようにする。
- 400-1600kmの間は、アクセル全開や4000rpm以上回すことを避けることが重要ですが、75%スロットル開度での瞬発的(0.5秒)な4000rpmまでの加速を時折することはピストンリングの慣らしに役立ちます。
- 最低1600kmまでは低いギアでのフル加速を避け、400kmまではどのギアでも全開は避けます。
- 最初の480kmまでは一定速での走行を避けます。
最も重要なのは、ごく普通に運転することです。慣らし中にあまりにエンジンに優し過ぎるのは、あまりに乱雑に扱うのと同じくらい悪いことです。
[2010.1.19]
慣らし中&後のファーストインプレッション
引き取って最初から、前のエンジンとは比べ物にならないほど滑らかに回る感じで、エンジンの振動も少なくなっていました。1000km過ぎた辺りから、エンジンの滑らかさが一段と高まってとてもスムーズだし、高速でエンブレかけても抵抗が少ない感じでするする走ります。
慣らしを終えて最初に3速で引っ張ってみると、4000rpm越えた辺りからトルクが盛り上がってきて、6000rpm辺りでもう一段来ます。4000rpm辺りから使えるトルクが出ているのがとても嬉しいところです。6000rpm辺りからは、トルク感というよりも一気にパワーが炸裂する感じで回転数の上昇が速くなります。
その後2速で下から踏んで見ましたが、Sタイヤが冷えていたのもあって4500rpm辺りでグリップを失いました。改めてタイヤが温まってから踏んでみると、やはり6000rpmから上は吹け上がりが強烈に速く、レブのランプと警告音が間に合わなさそうな勢いです。
Speed Sixエンジンの本来の姿がこれなんだと思えます。お金を掛けた甲斐のある、とても満足の行く仕上がりでした。
[2010.3.21]
油温とエンジン回転数制限
冷間で始動するときは、クランキング中にアクセルはごくわずかにあける程度以上にはせず、エンジンが始動したらすぐにアクセルを離してください。
油温が40℃までは上限3000rpm、油温60℃までは上限4000rpm、油温80℃までは上限7000rpmにしてください(水温ではなく、油温です)。
油温が110℃を超えたら、油温が通常に戻るまで5000rpm以下を守ってください。
[2010.1.19]