TVR Tuscan ブレーキ

ブレーキパッド交換

フロントブレーキ

4ポッドキャリパーなので、ピンを抜いてしまえばパッドを引き抜くことが出来る。TVRタスカンについているAP製のキャリパーには、ピンの固定用のクリップなどはなく、ピン自体に抜け止めの機構(写真参照)がついているので、細い方の穴に適当な棒を入れてピンを叩き出せば抜くことが出来る。

ピストンを押し戻す前にブーツの状態を確認し、ブーツを綺麗に洗浄しておく。ハードに使っていたがブーツの異常は全くない。

 パッドの押し戻しには専用ツールもあるが、とにかく押し込めば良いのでツールは必須ではない(素手でも押し込むことは可能だし、ピストンに傷がつく心配がない分良いかも!?)。

 パッドの側面と背面、キャリパー側のピストンとパッド側面が接する辺りにパッドグリスを薄く塗る。

 パッドを差し込み、パッドを押さえるプレートとピンを元通り組み付ける。ブレーキのエア抜きと、ドリルドローターの穴に詰まったブレーキダストを掃除しておく。

リアブレーキ

 ビルトインパーキングブレーキのスライディング式キャリパーなので、サイドブレーキを緩めておき、キャリパー上下のボルトを外すとキャリパー自体を取り外すことが出来る。

ブーツを掃除してから、ピストンを押し戻すためにピストンに掘られている十時の溝を使って、ピストンを時計方向に回転させる。これには専用ツールがあった方が便利なのだけど、ラジオペンチを溝に立てて回せばツールがなくても作業は出来る。傷がつかないように注意することと、サイドブレーキの調整部分を緩めておかないと、サイドブレーキレバーを下ろしただけでは充分にピストンを押し戻せない事があるので注意する。タスカンの場合は、右後輪側からデフキャリアの上辺りに調整がある。

 フロントと同様にパッドの側面と背面、ピストンとパッド側面が接する辺りにパッドグリスを薄く塗り、キャリパーを元通り取り付ける。サイドブレーキの調整をし、ブレーキのエア抜きと、ドリルドローターの穴に詰まったブレーキダストを掃除して完了。

ブレーキの馴らし

 パッドやローターの交換直後はハードブレーキを避けて、ブレーキをゆるゆると踏んでローターとパッドの表面を馴染ませる。ほどよく馴染んだら、100km/h位から0.5G程度のブレーキをかけて減速し、走行して少し冷やしてから、また100km/hからのブレーキを掛けるというのを5回程度繰り返して馴らしてやる。

 馴らしが終わるまでは効きも安定しないし、ブレーキのフィーリングも良くないので、とにかく丁寧に馴染ませる。どうしてもすぐにサーキット走行をしなくてはならない場合は、発熱させないように軽めに引きずって馴染ませた後で、100km/hからの減速&冷却を数回させることで馴らしを手っ取り早くやってしまう。いきなりハードブレーキをしてしまうと、パッドやローターが変に摩耗したり、パッドが砕けたりなど良いことはない。

ブレーキフルード

タスカンはブレーキブースター、マスターシリンダー、リザーバータンクが運転席にあるペダルボックスに付いているので、リザーバータンクに直接フルードを注ぎ足すのはなかなか大変だし、残量の確認もし難い。

 また、キャップに付いているレベルゲージの中にフルードがたまっているので、キャップを外すときには溜まっているフルードをうまくリザーバータンクに落としてからにしないと、結構たくさんこぼしてしまうので気を付けたい。

ブレーキパッドインプレッション

純正(AP)

 カッチリしたフィーリングで、踏んだら踏んだだけ制動力が発生するのでコントロール性が高い。冷えていると若干初期の効きが甘くなってくるのと、高温になってくると若干食いつきが強くなってコントロール性が低下するが難点。

 パッドの鳴きやブレーキダストはかなり多いが、欧州車としては平均的か。

EBC(Red Stuff-Carbon Ceramic)

レース用ではないが、サーキットでも充分使える。温度による効きの変化の少なさは純正AP製よりも良い。パッドのタッチも良い。

 鳴きは出るようなことが説明書に書いてあったが、今のところ鳴きは少ない。リアパッド用に3Mの接着式のシムが付いてきたが、それを付けていなくても特に鳴きが出ているわけではない(フロントは停止直前に鳴くときがある)。逆に、ダストは少ないというのが売り文句になっているが、それなりには出ている。

 フロントパッドはRENAULT CLIO 3.0 V6, MORGAN AERO 8用、リアパッドはFORD ESCORT RS COSWORTH, SIERRA RS COSWORTH, GRANADA / SCORPIO用と書いてあるので、それらの車用の他のパッドも流用できる。

[2009.1] 富士スピードウエイで使ったところ、パッドのタッチが柔らかくなってしまい、利きも低下しました。走行後見てみると、パッド側面に樹脂のバインダーが溶けだしてきたあと固まっていました。サーキットで激しく使うには向いていないかもしれません。固まった後は、またカッチリした感触にはなっています。

ENDLESS CC-Rg

[2010.3.18]タスカンのフロントキャリパーはAP RacingのCP6600ですので、これ用のパッドが使えます。ENDLESSでは、他社ビッグキャリパー用のパッドを出していて、品番RCP100がこのキャリパー用です。

 材質はNS97・SSM・TYPE-R・MX72・CC-Rgと、サーキットコンパウンド:S30L・S55G・ME22・ME20・N35Sも選べます(#このページを作るためにホームページを見ていたらサーキットコンパウンドも選べるようになっていました。先月は選べなかったような気がするのですが、、、)。サーキットコンパウンドはμ/V特性も出ていて好みのが選べそうです。

 あと、注文時にパッドの厚さを指定します。ENDLESSさんの細かい配慮が嬉しいところです。ちなみに、EBCのRed Stuffの新品の厚さは16mmです。尚、このパッドの厚さはバックプレートの分を含みます。摩擦材の部分だけの厚みではありません。

 どの材質を選んでも値段は一緒です。RCP100はパッド厚20mm以下は税込み31,500円です。厚みが21mm以上だと税込み5,250円追加代金がかかります(#ホームページは21mmを超えるとアップと書いてありますが、21mm以上が正しいようです)。