大流量フューエルインジェクター&燃料デリバリーパイプ

 ノーマルのインジェクターは600cc/minなので、ノーマルタービンのブーストアップで対応馬力の限界となります。タービン交換にあわせて、インジェクターも1000cc/minのものにしました。これで650馬力まで対応可能です。

 入手したのはInjector DynamicsのエボX用のものです。コネクターの形状が違いますが、取り付けや電気的にはそのまま置き換えができる(高抵抗タイプ)ものです。セッティングに必要な燃圧に対する無効噴射時間と噴射量のデータシート、車両側に付け替えるコネクターもついてきました。本体はBOSCH製のインジェクターで、コネクターはEV6というタイプです。よく見てみると、BOSCHの製品番号の一部を削ってわからないようにされていましたので、何かの車の流用品なのかもしれません。Injector Dynamicsでは噴射量のばらつきが少なくなるように、実測して選別しているとのことです。

 同時に燃料デリバリーパイプも変更しています。容量が大きくなっていて、高馬力対応可能ということなので交換しておくことにしました。ノーマルのパイプも平べったいものの容量はありそうなので、本当に交換する必要があるかは不明です。

 作業は非常にシンプルで、燃料ポンプに電圧が掛からないようにしてクランキングを2秒ほどして、燃圧を下げておきます。エンジン上部の防音・化粧カバーを引っ張って外し、インテークパイプも外しておきます。インジェクターのコネクターや、燃料デリバリーパイプを外すのに邪魔なワイヤーハーネスの固定部分などを外してずらしておきます。

デリバリーパイプのスペーサー

 燃料のフィードホース(樹脂のクリップをずらして抜く)とリターンホースを外し、燃料デリバリーパイプを外します。燃料が少し漏れますので、ウエスなどでもれても良いようにしておきます。燃圧レギュレータは新しいパイプに移植しなくてはならないので固定ねじを緩めておきます。デリバリーパイプを変更しないのなら外す必要は無いです。このとき、燃料デリバリーパイプは樹脂のスペーサーを挟んだ状態でエンジンに取り付けられているので、パイプをエンジンから取り外すときに落下させないように注意します。

 デリバリーパイプはインジェクターと一緒に外すので、インジェクターをまっすぐ引き抜く方向に抜きます。

 デリバリーパイプを外したら、燃圧レギュレータを外します。このとき、デリバリーパイプ内に残っている燃料が出てきますので注意します。

インジェクターの比較
(奥:ノーマル, 手前:Injector Dynamics ID1000)

 インジェクターの固定クリップは流用するので外しておきます。インジェクターだけを交換するならインジェクターも外す必要があります。

 整備書によると、新しいインジェクターを差し込むときにインジェクターのOリングのすべりを良くする様にガソリンを塗布しておきます。整備書の他のページには新品のエンジンオイルを塗ると書かれているところもあるのですが、デリバリーパイプに残っていたガソリンがちょうど手元にあるのでそれを使いました。クリップがちょうど嵌る位置までデリバリーパイプにインジェクターを差込みます。

 ここで、新旧インジェクターの噴射部分の長さが全然違うことに気がつきました。ノーマルのほうが長いのです。HKS FUEL UPGRADE KIT for CZ4Aを見てみると、HKSのキットのインジェクターも短いですね。

 新しいデリバリーパイプは燃圧レギュレータの取出しが上面からになるので、リターンホースの取り回しを変えます。リターン側のパイプをデリバリーパイプに固定するところが無く、全部ゴムホースに取り替えるようになっているのですが、信頼性の点からノーマルのリターンパイプを生かして、最低限のゴムホースを追加するようにしました。デリバリーパイプについてきた固定金具を上手く曲げると、エンジンのカバーのステーのボルトを使って上手く固定できました。

ノーマルのリターンパイプを固定

 フィードパイプのほうはノーマルと同じように差し込んではずれ止めのクリップを入れれば良いのですが、差込みが結構きついので、デリバリーパイプをエンジンに固定する前に差し込んでおいたほうが力が入れやすくて良いです。これは、ノーマルのパイプでも同様です。

 インジェクターのコネクターの車両側はDENSOですので、インジェクターに付属してきたEV6のコネクターに付け替えるか、変換のサブハーネスを使って接続します。サブハーネスは$20追加位で一緒に買えるところもありますので、必要ならそういうところで買うと良いと思います。私は最初は車両側のコネクターを付け替えてしまおうと思っていたのでサブハーネスを買わなかったのですが、あとでやっぱり変換コネクターを作ろうと思い直し、DENSO用のコネクターを入手して作成しました。入手先はThe Connectors Fast Storeです。

 [2012.1.24] 筑波に遠征したところ、ストレートでばらついてしまいました。原因を探ったところ、追加コネクターの接触不良でした。その場ではタイラップで固定してしのぎましたが、戻ってきてから、追加ハーネスは使わずにコネクターを直付けしました。

フューエルデリバリーパイプ装着状態

 残る作業は、エンジンECUの定数を新しいインジェクターのものに変更しなくてはなりません。とりあえず、データシートからパラメータを計算して、それを入れてみました。ノーマルの燃圧は、(インマニ圧)+3.29kg/cm2なのです。が、私は燃料ポンプをSARDの強化品に変更しているので燃圧は高いかもしれません(レギュレータの容量が小さいので、逃がしきれないと高くなります)。ノーマルの燃圧で計算&補正したパラメータは次のとおりです。

Fuel Injector Scaling

943cc

Injector Battery Voltage Latency Compensation

V4.697.049.3811.7314.0816.4218.70
Latency(ms)3.8253.4202.0551.3801.0050.7950.720

 エンジンをかけてみると、一発で始動しました。アイドリングのA/Fは若干濃い目(14.0~14.5辺り)で、ECUの補正がかかってうろうろしています。補正値が安定したら、インジェクターのパラメータを再修正して行く必要があります。

[2011.9.1]

インジェクターパラメータ調整

燃圧4.17kg/cm2(60psi)にて、インジェクターのセッティングをしました。

 まず、インジェクターについてきたデータシートから60psi用に値を計算してみたものでは薄すぎました。補正値があっという間に限界まで行ってしまいましたので、インジェクターの計算上の噴射量を943cc/minに変更しました。この状態ではアイドリングの補正値はどんどん薄くする方向に行き(-2.5%)、定常走行中の補正値はどんどん濃くする方向に行って最大7.8%、最後は5.6%となりました。

 そこで、無効噴射時間を10%ほど減らし(アイドルで約5%薄くなる→補正値が2.5%濃い方向になる予定、定常走行で約3.3%薄くなる→補正値が2.6%濃い方向になる予定)つつ、薄い方向に変化させたので安全を見てインジェクターの計算上の噴射量を一旦約8%小さく(アイドリングで約4%、定常走行で約5.3%濃い方向に変化する予定)しました。無効噴射時間は燃圧47.5psiのノーマルレギュレーター用に作ったものがよさそうなので、それに戻します。

 予定通り全体に濃い方向にいってしまいました(補正値が両方約-4%)。インジェクターの計算上の噴射量を3%ほど増やしてみたところ、両方2%以内に入ったのでセッティング終了です。最終的なパラメータは次のようになりました。

Fuel Injector Scaling

886 cc/min

Injector Battery Voltage Latency Compensation

V4.697.049.3811.7314.0816.4218.70
Latency(ms)3.8253.4052.0551.3801.0050.7950.720

 結局、燃圧変更前の仮置きのセッティングよりも全体的にちょっと濃い方向に変化しただけになっています。インジェクターについてはきっちり追い込んだので、次は燃調をあわせます。

[2011.10.16]

再・インジェクターパラメータ調整

 しばらくすると、アイドリングの補正値が-12.5%に張り付いてしまったので、再調整しました。

 無効時間、計算上のインジェクター噴射量をそれぞれ思い切って10%下げると、アイドリングと定常走行の補正値が+12.5%,+6.25%まで行ってしまったので、半分くらい戻した値にしてみるとアイドルが-4.3%、定常走行が+4.7%になりました。

 計算上のインジェクターの噴射量を小さめにし、無効時間はほんの少しだけ下げたところで、どちらも2%以内で0%を中心に行ったり来たりする感じになったので、今度こそインジェクターのセッティングは完了(して欲しいです)。

Fuel Injector Scaling

812 cc/min

Injector Battery Voltage Latency Compensation

V4.697.049.3811.7314.0816.4218.70
Latency(ms)3.8253.2101.9201.2750.9150.7350.690

 インジェクターのデータシートからは、かなり離れてきました。特に、Scaling値(計算上の噴射量)はとても小さくなっています。

[2011.11.26]