オイルキャッチタンク

 インタークーラーを交換したときに確認したところ、吸気系はまだ綺麗な状態だったのですが、スロットルの前、コンプレッサー入り口に戻されているブローバイガス還元装置のブリーザーホースからのオイルミストを除去しておきたいという理由で、オイルキャッチタンクを取り付けることにしました。ここにオイルミストがどんどん流れると、コンプレッサーホイールやインタークーラー内に付着してしまうのです。

 筑波サーキットに遠征したところ、最終コーナー立ち上がりでテールパイプから白煙が盛大に出てしまいました。コンプレッサー入口へ接続するブリーザーホースの取り出し口がヘッド左後方にあるので、右コーナーでGがかかった時に吹きやすいのでしょう。キャッチタンクは必須です。

ブローバイガス還元装置(整備書から引用・加工)

 オイルミストの粒径は1μm~10μmで、主に可動部分との接触で掻き揚げられたりして発生したミスト(液体の微粒子)で、蒸発により気体化して空気中に入っている成分はごく一部です。なので、粒子同士がぶつかるか、他のものに接触して粒径が大きくならないと回収は困難です。フィルターがついていれば、回収出来る割合も増えますが、メンテナンスが必要です。

 MAHLEからは流速をあげたブローバイガスを隔壁にぶつけることで効果的にオイルミストを回収する装置(オイルミストセパレータ)が売られていますし、自動車技術会でも内容が発表されています(「小型・高性能オイルミストセパレータの開発」、 遠藤 一豊(マーレ フィルタ システムズ)須藤 正範・小林 章弘(マーレ フィルタ システムズ)、2007年自動車技術会春季大会、No.62-07 エンジントライボロジーⅠ)。これを使えばかなり有効に集めることが出来そうです。

 しかし、今回はヤフオクで入手したオイルキャッチタンクを取り付けてみます。目的がオイルミストの除去なので、エンジンの異常やオイルの入れすぎなどで噴出してきたオイルを回収するほどの容量は不要で、オイルミストさえ上手く回収できれば良いので小型のものにしました。また、単に筒だけでは回収することは困難なので、フィルター付きというものを買ってみました。効果がなければ、改造すれば良いですし。

 値段の割りに外見の見た目はしっかりした作りです。内部構造は中央付近にパンチングメタルに挟まれたフィルター層がありますが、ナフタレン臭がひどくて頭痛がします。上部のニップルには更に細いチューブが差し込まれていて、そこから下層へと繋がっています。横には溜まったオイルが見えるように透明なチューブが取り付けられています。

 この時点で、構造上の問題点が2点あります。一点目は、下層へと繋がるホースが細すぎることです。ブリーザーホースはエンジン側の圧力が高い時に、吸気側に戻すというだけではなく、PCVバルブからエンジン内の空気を吸い出す時には吸気の経路にもなるのです。ここがあまり絞られていると、エンジン内の換気量が減少してしまいます。が、PCVから吸い出される空気量が減って、そちらからのオイルミストの汚染も減少する可能性はあります。また、吸気側に抵抗があると言うことは、エンジンの背圧が低下することになります。燃費改善に効果があるかもしれませんので、一概に問題だとも言えないかもしれません。

 もう一点はキャッチタンクの内部構造に起因するもので、溜まったオイル量をみるためのホースの部分が、フィルターをバイパスするようになってしまっている点です。このホースの部分は上側と下側をつないでしまっているので、フィルターを通らない流路が出来てしまっているのです。

この2点は改善してから取り付けたいところですが、ナフタレン臭がひどくて倉庫に置いておくのも嫌なので、さっさと取り付けました。簡単に取り外せるので、いつでも改修できます。

 ランエボX用4B11エンジンのブローバイ回収装置のブリーザーホースの内径は12mmで、一応負圧も若干かかることを考慮してホースを入手しました。TOYOXのトヨリングです。普通のホースは使用圧力が正圧のみが、このホースは負圧対応出来るように補強されています。使用温度範囲が-5~60℃なので、エンジンルームにはちょっと厳しい環境ですから、状態を観察しながら使うことにします。燃料用のゴムホースの方が良いかもしれません。

 本体の取り付け位置はエアフィルターの脇にちょうど良いスペースがあるのでそこにしました。この位置まで取り回すと全部で1.5mほどホースが必要です。本体の固定には、汎用のL型ステーをエアクリーナーケースの固定ボルトで共締めしました。ブッシュが効いて、振動も抑えてくれるような良い感じに固定できました。

汎用オイルキャッチタンク取り付け状態

オイルキャッチタンクのニップルは9mm用なので、そのままではホースが太すぎるのですが、付属の9φのホースをスペーサーにしてピッタリと装着することが出来ました。

 工業用のホースが若干浮いた雰囲気になってしまいましたが、収まりよく取り付きました。

[2010.10.31]

 取り付けたキャッチタンク内部のホース内径が細すぎてよろしくない(背圧が充分抜けない)ので、クスコのセパレータータイプのオイルキャッチタンクを取り付けることにします。容量2Lでとても大きいものです。ホース内径も15mmで、ノーマルの12mmより太いので、そのあたりも加工する必要がありますので、後日取り付けの情報をアップします。

[2012.5.2]

クスコ オイルキャッチタンク セパレータータイプ

加工したサクションパイプ

取り付けに際して、エンジン側は内径12mmのホースを15mmに接続するための変換ジョイントを入手(eBayにてイギリスから入手、£2.49+£2.00送料)しました。サクションがノーマルなら同じ変換ジョイントで接続すれば良いのですが、私はアルミ製のサクションに変更していて取り出しの径が細いので、サクションパイプ側の取り出し口を15mm用ホースニップルに変更しました。もともとの穴を拡大加工し、1/2PTのタップを立てて取り付けました。

曲げ加工したステー

オイルキャッチタンクは大容量なので、ノーマルのエンジンルームでは設置場所を見つけるのはかなり困難だと思われます。私の車はBLITZのエアクリーナーに変更してあり、ノーマルのエアクリーナーボックスが取り外されているので、このスペースに取り付けます。エアクリーナーを支えているステーをオイルキャッチタンクの丸い形状に合わせて曲げました。

 オイルキャッチタンクの固定は付属のステーにL字のステーを取り付けて、アースポイントに共締めしました。オイルキャッチタンクの底の部分にはクッションを貼り付けてエアクリーナーの遮熱板に乗せてあります。

 最後にホースを接続して完成です。エアクリーナーの取り付け位置が前方に来てしまったので、ボンネットの排気穴の下に少しエアクリーナーが見える状態になっています。街乗りの時に雨でぬれないように半分だけ排気穴を塞ぎました。

オイルキャッチタンク取り付け完了

[2012.6.6]