シャシー開発

ニール・アンダーソン

 軽量な車が良いことに疑いはありません。加速は速く、ブレーキも良く効き、ボディを支えるサスの負担も軽いです。問題は、全車重に対するバネ下重量です。車にとって一番嫌な重量物は、ホイールとタイヤです。

 数年前はエキゾチックだった15インチタイヤは、既に見つけることが難しくなっているという事実を無視することは出来ません。タスカンの性能に見合う性能のZR規格のタイヤは、すべて16,17,さらには18インチなのです。頑丈にするために大量の鉄の補強材が使われているために重くなり、大きなホイールもまた重いです。それらは、タスカンの倍ほどの重いような、大きな車で高い車速を維持する目的に設計されています。

 また、これにはファッション性も関わってきます。人々は、巨大なホイールや巨大なブレーキを期待します。理想的には、フェードしない最も小さいブレーキを使いたいです。それで十分以上なのですが、見た目の問題があります…。

Front Suspension

問題解決のためには、ホイールの重量をコントロールしなくてはなりません。ホイールに対してシャシーが軽すぎるので問題が起こるのです。バネ下重量を制御できずにシャシーを振動させてしまいます。乗り心地を良くするために柔らかいスプリングを使うとすると、バネとホイールの質量の両方とボディの動きをコントロールするのにダンパーを使わなくてはなりません。ダンパーには役割がたくさんあります。タスカンのダンパー開発には、これまでのどのTVRよりも多くの努力を注ぎ込みました。サスペンションにはゴムブッシュもあります。重量で圧縮されてジオメトリが犠牲にならないように、十分硬くしなくてはなりませんが、適切な領域では路面の振動やハーシュネスを伝達しないようにコンプライアンスが無くてはいけません。まあ、これは多くのメーカーがやっている程度のことです。スポーツカーメーカーがこの種の事にこれほど気を遣っていると言うことが普通ではないということです。加えて言うなら、我々の車は別の視点からスタートしています。他の何物とも似ていません。近年では少なくなってしまった、超高性能な前置きエンジンの実用的なツーシーターです。

 シャシーは実質的にはサーブラウの物と同じ大きなセンターチューブボックスです。サスペンションのジオメトリーも基本的には同様ですが、バネレートとダンパーレートは明らかに違いますし、ロールバーも別物です。

タスカンの車両重量の目標は1000kgでした。近いところまではいったのですが、達成は出来ませんでした。そのことについては、タスカンのプロジェクトマネージャーのベン・ラングがお話しします。

[2009.11.25]