2022年7月に北京でも無人の自動運転タクシーの営業が開始されました。有人のものは2021年11月25日からBaiduとPony.ai(https://www.pony.ai/)が営業を開始していました。Baiduの方は中国の身分証明書が必要との情報があるため、今回はPony.aiに乗車しました。

Poni.aiの自動運転タクシー

 Pony.aiの自動運転タクシーは「PonyPilot+」のアプリから電話番号登録すれば、呼び出すことが出来ます。2022年8月5日現在、最初の1回は無料で乗ることが出来ます。助手席には補助のブレーキペダルが設置されているため、乗車出来るのははリアシートのみです。なので、乗客は3名までとなります。

 乗車手順ですが、HealthKitのQRコードを読み込んで乗務員に見せ、シートベルトを装着して、登録した電話番号の下4桁を入力してOKすれば走行を開始します。乗務員は運転席でも助手席でもどちらに座っていても良いとのことですが、呼んだ2回とも運転席に座っていました。アプリから運転席を空席にした車を予約することが出来るので、どうしてもという場合は予約する必要があります(最初の1回は予約できませんが、2回目以降は可能になります)。

 走行の印象は、結構スムーズに程よい加速感で加速し、ステアリング操作も遅からず速からずのいい塩梅にチューニングされていて安心な走行です。ブレーキの減速度も思ったよりは出しているのですが、停車直前で上手くブレーキを抜いてスムーズに停止しています。下手なドライバーよりはよっぽど上手です。

 周囲の検出もかなりの精度で出来ていて、横道からバイクが入ってこようとしているのもしっかり検出、軽く減速して対処していました。結局、バイクは自分が走っている車線には入らなかったのですが、その程度のことでは動じることはなく安定した走行をしていました。

バイクが自分の走行車線に入ってこようとしているのを認識
(画面に赤色表示+予測経路と予測位置が表示されています)

 歩行者の横断などにも余裕で対処(上手く譲っていて、譲られた女性も笑顔だったのが印象的)していました。

 帰り道ではUターンもしたのですが、難なくという感じで何も問題はありません。人がいる交差点の右折もきれいに通過していきました。最後の方で、左車線の車がかなり自車に近い位置でこちらの車線に入ろうと寄って来ましたが、少し右に避けつつ軽く減速したところで相手も気づいたらしく、何事もなかったように走行を継続していました。

 帰り道では目的地に到着して右の路肩に寄せるときには、停車しているバイクなどで若干微修正が多かったのですが、大きな舵角を綺麗に操舵して上手く停車していました。

車内から撮影した動画(行きの動画から抜粋)

 料金は目的地まで10~15分くらいのところで、6.6元でした。今は円安で1元20円程度ですが、それでも130円程度なので安いと思います。

 全体を通しての印象は、安心して乗車することが出来ましたし、交通の流れにも乗って走行していて違和感のない自動運転が出来ていたと感じました。私がTRIで自動運転車を走らせていたのは5年前ですが、それが大昔に感じるほど劇的に進化しています。限られた区域であれば、そう遠からず完全自動で走れると思える体験でしたし、このような車が増えれば相当便利になるし、「自動車を所有する生活」ということに対する影響は相当大きいと実感出来ました。